Pro Tools 12で初ソング & Elevenフル活用 : Crisis [Pro Tools]
Pro Tools 12.2を使って一曲作ってみました。
曲名は「Crisis」、相変わらずダークな感じです.......次こそは明るく爽やかに
Pro Tools 12.2の新機能は、これまでHD版のみについていたVCAフェーダーとか17種類のレベルメーター表示等ですが、最大の目玉は「ディスク・キャッシュ」機能ではないかと思います。
簡単に言ってしまうと、オーディオデータを全てRAM上にキャッシュして、そこから再生する機能で、ディスク・パフォーマンスに依存せず安定した録音/再生が可能な機能で、CPU負荷も軽減することができます。
設定はプレイバック・エンジン上で行います。
使用しているiMacにはRAMが16GB搭載されているので、7分39秒の大作(?)用にと、気合を入れてオーディオ・キャッシュ用に4GBアサインしてみました.......が、結果として使用したのはたったの4%.......
やや拍子抜けでしたが、でもよく考えたら、32bit float/48kHzのセッションでオーディオ・データは、ギターとドラム・ループだけなので、こんなもんなのかもしれませんね。
ディスクキャッシュのメーター表示が、緑色なのはセッション全体が全部RAMに読み込まれているよという意味です。
データは、セッションを開いた時にタイムラインの最初から読み込む形ですが、読み込み中は、このバーは黄色になります。
読み込みはバックグラウンドで行われるので、読み込み中でも再生したり編集作業をしたりすることができますが、読み込まれていない部分を再生したかったり、セッションが大きすぎて全体をRAMに取り込めず、その読み込んでいない部分を再生したりする場合、とりあえずその部分を「ディスク」から直接再生しつつ、そのポイントから再度、バックグラウンドでディスク・キャッシュにも取り込む形をとります。
この場合、ローカルのハードディスクで作業している場合は、ほとんど違和感を感じないと思いますが、アクセス速度の遅いサーバーから直接再生するようなケースは、ディスク・キャッシュにデータが読み込まれるまでの間は再生フォーマンスが落ちることもあるかもしれません。逆に言うとオーディオ・データを、サーバー保管するような使い方の場合には、「ディスク・キャッシュ」オンは必須だと思います。いずれにしろ、これでオーディオ・データの保管メディアがなんであっても、それを一旦、キャッシュすることで、問題なく再生/編集作業を行っていくことができるわけですね。
今回の場合、結果としては余裕すぎる状態だったわけですが、全体メモリー的にも負荷は少なかったので作業中はずっとこの状態で実行していました。
セッションの全景は、こんな感じです。
まずは編集ウインドウ。
ギターとドラム以外は、Xpand2ですが、今回は最後までオーディオ化せずに、MIDIシーケンス状態のまま作業していきました。
次にミックス・ウインドウです。
こうしてみると結構、多くのプラグインを使っています。
Pro Toolsにはバージョン11から、「ダイナミック・プラグイン・プロセッシング」という、再生中にだけ、実行しているプラグインがCPUパワーを消費するというモードが設定できるようになっています。
これをオフにした場合、このセッションのCPU使用率は、停止時で約70%です。
それに対して「ダイナミック・プラグイン・プロセッシング」をオンにして作業すると、最もプラグインを多く実行している(再生トラック数が多い)と思われるギター・ソロの後半部分で約50%となります。
これらの機能や設定によりCPUパワーに余裕を持つことができたので、録音時のレーテンシーを比較的違和感のない64サンプルに設定したまま、ダビング等も含め最後まで作業をしていくことができました。
今回の曲では、特にElevenがいつも以上に大活躍で、全部で18トラックに実行しています。
ギターは、ジャーン、初登場。
アレンビック......のコピー・モデル(フェルナンデス製)のピックアップ改良版です。
大昔に買って、クロゼットの奥にズーっと眠っていたのですが、壊れてしまったプリアンプを、普通のパッシブ型のピックアップに付け替えて蘇りました!
ピックアップは、セイモアダンカンのHot Railにしました。
ザグリを入れたくなかったので、シングル・ピックアップ型にしたのですが、逆に細すぎて枕木追加状態です。
作業は近くの楽器店さんに頼んだのですが、元々ついてたコンデンサーを使った(?)とかでトーン・コントロールは全く効かず、コイル・タップでシングル・コイルとハムバッカーを切り替えるという機能も未装着ということで、やり直してもらおうかなーとも思いましたが、とりあえず音は出る & ボリュームは効くのと、また持ってくのが面倒だったので、そのまま使うことにしました。
ということで、今回のこのギター1本で全トラックやりきりました!
主なパート毎のElevenの設定ですが、下記のような感じです。
イントロと曲中のアルペジオ
メロディー(高音部/低音部)とソロ
中間部のカッティング(LとR)
Xpand2で演奏しているベース
上記を基本に各パート毎にEQやCompそして、パートによってはダブラー的なエフェクトも実行しています。
Elevenの前段でEQ/Compも実行(パラメーターはほぼ常に一定)して、まずはプレイヤーとして音作りを行った後、ミックス時にElevenの後段に下記のようにChannel Stripを実行してバランスをとる(パート毎に変更)感じです。
自分は一人でやるしかないのでそうしましたが、頼める人は、後段の部分の音作り(=ミックス)は、そこで色々と試行錯誤するよりは、エンジニアの方にやってもらった方が良いかもしれませんね。
ということで、次は機会があったら、使った他のプラグインなどについても書いてみたいと思います。